ぼく、ぬーぬー

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「ぬーぬー! どこー!」  としろうくんのこえだ!  パタパタいう足音が、ちかづいてくるよ。  でも、ぼくのいるところをとおりすぎて、すなばにいっちゃった。 「ぬーぬー!」  としろうくん、今にもないてしまいそう。  ぼくにもこえがだせたらいいのにな。  おはなしできたらいいのにな。  でも、ぼくはうごくこともはなすこともできないから、さがしてもらえるのをじっとまつしかないんだ。  コツコツという音がちかづいてきて、ほっそりした大きな手がぼくをつかんだ。 「いたわよ!」  お母さん!  ぼくの心のこえと、としろうくんの声がかさなった。  走ってくるとしろうくん。  お母さんは、ぼくにくっついたかれはを取って、としろうくんにわたしてくれたよ。  ワーイ!  やったよ!  としろうくん、ただいま!  また会えて、とってもしあわせ!
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