蛇の入れ物

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 草むらでうつ伏せになっているSの身体は半分蛇に飲み込まれている。 「よお、西川。久しぶり」  笑顔を見せる彼に対し、僕も笑顔を作り、 「久しぶり。相変わらず元気そうだな」 「お前がそう見えるんだったら、そうなんだろうな。俺は元気だ」 「そんなことより、お前はいつ頃飲み込まれそうなんだ?」 「もう足の感覚はないし、生理現象もなくなったから、そろそろだと思う」 「今のお前ってあれだよな。人魚ならぬ、人蛇(ニンダ)だな」 「おお、いいね。忍者みたいでカッコいい」  Sは満足そうな顔をして、新たな下半身を撫でた。黄土色の皮膚に黒のまだらが広がるそれは光沢を持ち、遠目に見ても湿っていることがわかった。蛇は特に反抗することもなく、むしろ心地よさそうな顔をしている。 「ところで、今日もあれは持ってきてくれたのか?」 Sの言葉に僕は黙って懐から自宅近くのコンビニで買ったポテトチップスやチョコクッキーなどを地面にばらまいた。Sはそれを貪り食った。 僕はその場にゆっくりと胡坐をかいた。土の匂いと唾液の匂いが混じり合ったものが鼻孔を撫でた。 「お前、お菓子ばかりじゃ身体に悪いぞ?」
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