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「それはあれか? 人間にとってか? 蛇にとってか? あいにく俺はどちらでもない。だから、なにが健康に良いかなんて誰にもわからないはずだぞ? だから好きな物だけを食う。それだけだ」
「うるせえよ。大体なんで手があるのに、使わないんだよ」
「こんなものは飾りだ。人間、手なんてなくても生きていける。あるから使いたくなるだけだ」
「だったら蛇に食わせてしまえ」
「あいにく今、丁度心臓の少し下を溶かしているところだ。容量オーバーだよ」
「屁理屈ばかり言いやがって」
「屁理屈ばかり言わせやがって」
Sは汚れた口周りを舌で舐めまわし、こちらをまっすぐ見つめ、盛大にゲップをした。
「だいたい人間には余分なものが多すぎる。正直、脳みそだけあればことたりる」
「肉体は入れ物に過ぎないってやつか?」
「そういうことかな。流れる水は腐らないって言うだろ? 人間はずっと同じ身体しか使えないんだ。そりゃあ腐っていくに決まっている、心も身体も」
「でも、お前のその衣替えはどうなんだ? ずいぶんと窮屈そうだが?」
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