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時間の感覚がわからなくなっているが、最後に理央と会ってからどれくらい経ったのだろうか? テティスの言葉が本当なら、俺にもし子供ができたのなら、理央は妊娠しているって事だろ?
『皆、命の重み尊さは同じ』
だったら、理央の乗る秤の上にある命は2つ。一方、るるちゃんの秤の上には命が1つ。そもそも釣り合ってなかったんだ。もし、あの場所で俺が立ち向かえず選ばないを選択していたら、全員が死んでたんだな……。
しかし今、俺の命を合わせて2つ。
「これで天秤は傾かなくなったはずだっ!」
俺はスマホの選ばないをタップして選択した。その時、俺の元いた足場は崩れて雲海へと消え去ってしまった。
「これが俺の回答だよ」
テティスの返事は無かった。反応を待っていると、少しして俺達の乗った天秤も崩れ始めた。
「くっ」
「きゃぁああああっ」
悲鳴をあげる理央。落下する俺もるるちゃんを抱きしめているのが精一杯だった。
雲海へと吸い込まれると目の前が真っ白になり、俺は意識を失ってしまっていた。
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