ばら、ばら、ばら。

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ばら、ばら、ばら。

 クラス全員に手紙は出したが、案の定同窓会に出席すると言ってきたメンバーはごくごく僅かなものだった。まあ、それよ仕方あるまい。十年前、私達の中学校はそこそこ荒れていて、不登校の生徒も珍しくなかった。いじめもあったし、漫画みたいなヤンキーもいたはずである。私達の一年五組もそれは同じだ。手紙は全員に出したものの、顔も殆ど思い出せないようなクラスメイトも少なくなかった。  結局集まったのは、卒業後も交流があった十数人のみ。教室に私が入ると、案の定すでにお酒を飲んで盛り上がっているメンバーが少なくなかった。 「おー久し振りじゃーん文香(ふみか)ー!」  会場として借りた公民館の一室。レジャーシートの上で既に缶ビールを空けて出来上がっているのは、中核時代からの親友である美緒(みお)だった。その側には同じく親友の奈央子(なおこ)の姿もある。まだ集合時間にもなっていないのに、いつから出来上がっていたのだろう。他にも数名の元クラスメイトが、シートの上でお菓子を開けてわいわいと騒いでいた。 「久し振りもなにも、アンタとは一ヶ月前に会ったばっかでしょ。同窓会とは名ばかりの飲み会で」 「あり?そうだっけかー?ぎゃははは、覚えてなーい」 「文香ちゃん、むりむり。もう美緒ちゃん完全にアッチの世界に旅立ってるから、話殆ど通じませんです。諦めて下さいな」 「そういうアンタも顔真っ赤だけどね、奈央子……」  もはや珍しくもなんともない光景である。同窓会の手紙を出しても、応じるメンバーは私達三人を含め、ノリが良くて陽キャな者達ばかりだった。サッカー少年だった達人(たつひと)(しのぶ)大成(たいせい)。ヤンキーに片足を突っ込んでいた駿太郎(しゅんたろう)と、その金魚のふんだった数馬(かずま)。駿太郎の彼女であった美登里(みどり)と、美登里の友人の(なつめ)。それから駿太郎とはライバルのような関係だった快晴(かいせい)(そら)。それが今回集まったメンバーで間違いないようだった。概ねいつも通りである。  開始の音頭もへったくれもなく、適当に飲み会が始まって適当なところで解散になるのだ。昔の思い出話を語ったり、今の近況を話したり、ちょっとした非電源ゲームをしてみたり。
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