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プロローグ
その森は、魔女の森と呼ばれていた。
視界いっぱいに広がるこんこんと萌えている圧倒的な森は、この森で世界が果ててしまうのではないかと思われるほど大きく、そのほとんどが広葉樹にもかかわらず、一年中色も数も変えない深い緑色の美しくも妖しげな森だった。
豊かな木の実や果実があると容易に想像できる森だが、何人も森には近づかない。
そこには、魔女、妖精、魔獣、そして、魔王が住んでいると言われていて、『魔女の森に近付いてはいけない』との掟があるのだ。
だから誰も近づかないのだが、数年に1人は好奇心がどうしようもなく抑えられず、森に入ってしまう者が現れてしまう。
しかし、魔女の森に入って出てきたものはいない。
魔女の森に入ったものは、数日のうちに下流の川底に沈んでいるのだから。
誰ひとりこの森から生還した者はいないから、この森が本当に魔女の森で、魔女、妖精、魔獣や魔王が本当に住んでいるのか、真実は誰も知らない。
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