91人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?セリーナ?」
「おうじ…さま?」
セリーナの声は少しかすれていたが、紛れもなくセリーナの声だった。
「セリーナ!」
「はい」
「セリーナ!」
「はい」
「セリーナー!」
王子は返事が返ってくるのが嬉しくて何度もセリーナの名を呼び、ついには絶叫してしまった。
離れたところから王子の護衛をしていたニールが、王子の絶叫に驚き、すぐに駆け寄ってきた。
「王子、どうなさいました?先ほどのつむじ風で何かありましたでしょうか?」
ニールは王子の前に右膝をついて控える。
「兄様」
ニールは空耳が聞こえた。
セリーナの声を聞くのなんてもう何度目だろうか?王子と変わらないくらい、セリーナが目を覚ます妄想は何度もしている。またこうして「兄様」と呼ばれる日を夢見ているニール。
「兄様」
また空耳が聞こえたようで、ニールはあまりの重症ぶりに自分でも驚く。
最初のコメントを投稿しよう!