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「あの夜、セリーナはルタオに何か言われて私の部屋を訪ねたのだろう?」
王子の問いに小さく頷くセリーナ。
「セリーナは何を見たのか言えるか?」
「…女の人が裸で、王子の上に跨っていました。王子の手は…女の人の胸…に触れていて…体を起こして…胸に顔を……」
セリーナはそれ以上言えなくて、言葉を詰まらせた。
「それは誤解なんだ」
「誤解ではありません。私は見たのですから」
「あの時、わたしは意識を失くして眠っていた。その女に触れていたのもおそらく操られるようにして触れていたのだろう。体を起こしたのだって、女に起こされてそうなったのだろう」
「本当ですか?」
「本当だ。この件はルタオが仕組んだことだった」
「ルタオ様が?」
「ルタオは僕と君とのことに反対するあまり、アグネス伯爵第四夫人だったアゼリアと言う女の口車に乗ってあの女を私の寝室にいれたそうだ」
「そうですか。でもどうしてあの女の人だったんですか?」
「え?それは、あの女が私を気味悪がらなかったからではないだろうか。宴の時からずっと横にいたのだ」
セリーナはそれを聞いて王子の手を振り払った。
「セリーナ?」
慌てる王子。
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