91人が本棚に入れています
本棚に追加
「ずいぶん前に自分の気持ちには気付いていたけれど、自信がなかった。僕のような不気味な容姿の男が君を幸せにできるだろうかと。けれど、どうしても伝えたくて、あの雨の式典の後、君に告げようと思っていたんだ。セリーナ、僕は君を心から愛している」
「王子様…」
セリーナは振り向き、王子と向かい合う。
私も王子様を好きなことに気付いたの、あの時。
王子があの女の人に盗られるのは嫌だと思ったんだ。
だから王子の部屋に戻ろうとしたとき……。
セリーナは唐突に思い出した。
部屋に戻ろうとしたとき、男たちに麻袋にいれられたことを…。
王子は突然震えだしたセリーナに驚き、セリーナの顔を覗き込むと真っ青な顔をしていた。
「大丈夫か?セリーナ」
「私、麻袋にいれられて、気が付いたら倉庫みたいなところで…男たちが…」
「思い出さなくていい。忘れろ」
王子はセリーナの言葉を遮って抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!