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「大丈夫だ、セリーナ。未遂だった。セリーナは何もされていない。あんなことは忘れろ」
王子はセリーナを強く抱きしめた。
「私、怖くて、怖くて…」
「もう何も言わなくていい。忘れるんだ。もう二度とあんな目には遭わせない。セリーナは一生僕が守るから、あんなことは忘れるんだ」
王子はセリーナの頭を優しくなでる。
「でも覚えてないんです。『助けて』と強く願ったとき、何か大きな力が落ちてきて…」
「竜巻のようなものが発生したんだ。そのおかげで助かった。すまない。すぐに僕が見つけられなくて。でもその竜巻のおかげでセリーナの居場所もわかったし、助かった。天が君を守ってくれたんだよ」
王子の言葉にセリーナは体をピクリとさせた。
「セリーナ、どうした?」
「いえ、何でもありません」
セリーナは一層元気がなくなったような気がして、王子はとても嫌なことを思い出させたと悔やむ。
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