いざ、参らん

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まっくろくろ…す…ぅ…黒く、もじゃもじゃした頭に、瓶底眼鏡をかけた男子が1人佇んでいた。 「前が見えん、王道くんも大変なこった」 うざったい髪をいじりながら、瓶底眼鏡から覗くをパチパチと瞬きをさせて、空を見上げた。 そこには()が高いと言わんばかりの、門の天辺がある。 「ま、跳べなくもない高さだな」  第一関門といったところか、そう彼は心の中で呟く…さて、ここの学園の皆様はどんな反応してくれるのか楽しみだな、非王道ってのもあるらしいが退屈しなければなんでもいい。 「つーか、伊達とはいえこの瓶底眼鏡邪魔くせえ…これ通販で買ったけどよ、おもしろいメガネとかガリ勉眼鏡とかの名前だったんだぜ、ウケる」 ぶつぶつと独り言を話す彼こそが、主人公であり、この目前に広がるどデカい敷地、私立黒鳩(くろばと)学園の転校生である。 「ある程度の情報はナツに調べてもらって、ここ選んだわけだし期待してるぜ!…そろそろ切り替えないとな」 深呼吸をして、自分自身を抑え込む。 ここから先は、別人格。踊り狂う演者だ。  俺はアンチ王道転校生、俺はアンチ王道転校生と呪文のように念じる。深呼吸をした(のち)に、両脚に力を込め そして…跳んだ─────
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