恋の魔法 北和行の場合

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「北くん、ま………ちょっとごめん」 町田さんは何か言いかけたが、視線を店の外に向け少し焦ったように出て行った。 見ると敬くんと呼ばれる高校生が店の前に立っているところだった。 少し顔が青白く見える。 町田さんと何やら話してすぐ敬は倒れた。 やはり体調が悪かったのか。 俺は立ちあがり様子をみようと敬の側へ寄ろうとした。 町田さんは俺に「来なくていい」と視線で制し、敬を支えて俺から一番遠くの席に連れて行った。 俺は定位置に戻り二人を見守った。 何かしゃべっているようだが内容までは聞こえなかった。 少しして町田さんが席を立ちカップとティーポットを手に戻ってきた。 あぁ、魔法だ。その子にも魔法を使うんですね。 まるで妖精のように舞う。注がれる琥珀色の液体。 そしてキラキラと光り流れる線。 最後には敬と町田さんは微笑みあっていた。 魔法が成功したようだ。 よかった、と俺も安堵の息を吐く。
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