向日葵の海に溺れて

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 神様ならきっと何でも出来るのだから当然、天界や魔界、汎ゆる世界を作っていることだ。だからあの世界も彼が作ったのだろうとノエルは考えていた。 「大半の世界はボクが作る。だけど、あれはちょっと違うかな……」 「じゃあ、誰が作った世界なの?」  カミサマじゃない他の誰かが作ったのなら、やはり彼は神様ではなくて、彼よりも偉い立場の人が居るのでは?とノエルは考える。そう彼の中で考えていただけなのに突然、「ボクより偉い人なんてもう居ないよ」と前置きに、カミサマは話し始めた。 「人間の強い思いから、勝手に新しい世界を作ってくれることだってあるからね。だから未知の世界も色々とあるのさ」 * * *  残暑有り余る、というのは可笑しい言い方かもしれない。でもこの感じを言い表すなら、不思議とこの言い方が適当なのかもしれない。そういう季節になってしまった。 「……」  本日も晴れ日和だ。  燦々と輝く太陽がスポットライトとして、少女たちの身長よりも大きい向日葵たちに当てて、更に輝いている姿はステージ上のアイドルみたいで、見ていると嬉々込み上げて来る。  そんな向日葵たちに、ルツェと向日葵の少女は囲まれていた。  一輪(ひとり)だけじゃなく、二輪(ふたり)だけじゃなく、もっと、もっと大勢で。……だけど。 「……今年も。夏とはさよならだね」  さよならの時は必ず来てしまう。  空は晴れているのに、雫が一つ零れ落ちた。そしてもう一つ、更にもう一つと止まることがなく、向日葵たちの根元が雫で満ちていく。  雫の元は、向日葵の少女から。別れるのが悲しくて、彼女の顔から零れ落ちていたのだ。大袈裟かもしれないが気付いたら、少女たちの胸まで浸かるくらいの海が出来ようとしていた。 「ゴメンなさい、ゴメンなさい……、……枯らしたくないのに」  向日葵の少女は、向日葵たちに何度も謝った。でも未だ雫は溢れるばかりだ。 「……さよなら、したくないなぁ」  向日葵に掛けてあげる言葉も止まらない。
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