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「……生きてる人間、とは限らないけどね」
そう云ったカミサマはどこか哀しげに、ノエルの目に映った。
* * *
「……見つからなかったね」
夕日が少女たちの周りを更に秋らしく染め上げていく。
それでも黄色が夕日で輝いて黄金色に見えるだけで、紅い紅葉が出来上がっていくことは無かった。
「まぁ、秋になったばかりだし」
紅い紅葉がそう簡単に見つかることなんて無いだろう。
天使の任務をこなしていた時も、探索の成果が全く無かった日もあった。だから、こんな日もある。
「それでもついこの間まで夏だったんだから、緑すら見つからなかったわ」
「うーん……」
向日葵の少女にそう云われてみれば、紅い紅葉は未だ無くても、緑が全く無かったのは不思議かもしれない。
「理由は分からないけど、“黄色の紅葉しか見ない理由を見つける”という目標が新たに出来たことだし、また明日、探索してみようよ」
「そうね」
話している内に周りは一気に藍色に染まって、一日は終わっていった。
明日は探しものがきっと見つかると信じて──
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