クマ失踪注意!!

7/8
前へ
/8ページ
次へ
「補助輪なんかなくったって、乗れるんだ!」 ロッタは補助輪をガンガン蹴りながら、 「ジャマだ、ジャマだ!エイ!」 その様子を見たクマの顔色が、急に青ざめる。 「どした?クマ?」気遣う、雅。 わなわなと震える手で、頭を抱えるクマ。 その頭の中では、おもちゃが散乱した部屋で床に転がるクマを、 「ジャマだ、ジャマだ」と蹴散らすロッタの姿が思い浮かべられている。 それをテレパシーで感じ取った雅は、 「よし、わかった!ウチの子になりな!」 ロッタはその声に振り向き、 「えっ?ボクが?」 「ちがーう、クマだよ」 「ヤだよ、ボクのクマ。 だいたい、オバさんみたいな頭わるい人じゃ、心配だよぅ」 「オバさん言うな!」 「ボクより年上なら、みんなオバさんなんだよ!」 「じゃ、アタシも?」傍らで聞いていた女の子が、口をはさんできた。 同時に振り返ったロッタと雅は、フリーズ。 我に返った雅は、 「ウチ、頭はわるいかもしんないけど、弱いモノに暴力ふるわないもん。 ロッタも『先取り学習』すんのはエライと思うけど、もっと先に学ぶこと あるんじゃね?お片付けとか、思いやりとか?」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加