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田舎町の住宅街にて。
黒いランドセルを背負って、リズム感のない不器用なスキップで
通りすがる少年。
この少年、実は…
「いい、いい、自分で言うから!」
おっ、なんかこっち来た。
「ボクの名前はロクタ。
先取り学習した感じによると、数字の「六」に「太い」で
『六太』…なんだけど、なんかみんな『ロッタ』って呼ぶ。
実はまだよーちえんの年長組なんだっ」
で、ランドセル?
先取り?
「なじませるためだよー」
ロッタは手を振って元の場所に走り去ってしまった。
独特のスキップを続けるロッタ。
おや、ランドセルのフタが、スキップに合わせてカパンカパン
開いてしまってる。
中から転げ落ちる、薄汚れたクマのぬいぐるみ。
「ボク!落としたわよ!」女性の声。
すかさず振り返る、ロッタ。
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