決意 

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決意 

学校では相変わらず、晶と神谷と会うことはなく、学期末のテストを迎え、そして終業式となった。 そして、その日の夕方。 晶は震える手でスマホを持つと、神谷にLI○Eを打つ。 『先輩、ご無沙汰しています。  もし今日、先輩の予定がなければ会えないですか?』 機械的な文面。 偽物でも恋人同士であった時のような、以前のメールとはかけ離れている。 でも、今の晶にとっては、これが精一杯。 悲しいも、苦しいも、自己嫌悪も晶の中に居続けて、晶の心はもう何も感じなくなっていた。 そして神谷に会った時に話す内容を、晶は何度も何度も頭の中でシュミレーションした。 もしもの時のため用意した、あるものも持った。 あとは神谷からの返信を待つばかり。 すると、 『久しぶり。今、家に俺一人だから、俺ん()で会わないか?ゆっくり話できるし。来る時、気をつけておいで』 先輩… メールの文字だけでも、晶は愛しく感じてしまい、何度も何度も読み返す。 これが終わったら、このメールともさよならだ… 晶はメールの文字を、頭に焼き付けるように見続けた。
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