七色の指輪

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 リュカとラファエルが旧知だったのをガブリエルは知らなかったのだろう。  驚いたような表情をしている。 「パーティーに来ないから、リュカが倒れてるんじゃないかって思ってね」 「わ、わざわざありがとうございます。今は落ち着いて寝ています」 「みたいだね」  ラファエルに話しかけられ、クロエの顔がひきつる。 「クロエ・シャロン」 「はいっ」  今度はガブリエルに名前を呼ばれ、クロエの背筋に冷や汗が伝った。  答える声が裏返っている。 「選定の指輪を持ってきたんだ。話は聞いてるでしょ」  ラファエルが口を挟んだ。  クロエに近づいてくるガブリエルの手には、七色に輝く指輪がある。 「あのっ」  クロエが何か言おうとした瞬間、指輪から放たれる光が飽和した。  七色の光が溶け、白く弾ける。  あまりの眩しさにクロエは目を瞑った。 (もう、なんなの……!)  光が収まったのを確認して目を開くと、クロエの左手薬指に七色の指輪がはまっていた。  自分の手を確認し、クロエは意識を手放しそうになる。  選定の指輪は、再びクロエを選んだのだ。
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