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表向きは病弱な妹を兄が心配して一緒に過ごせるように……と言うことだが、さすがのシャロン男爵も年頃の娘を男子寮に入れるようなことはしたくなかったという理由がある。
双子の兄妹ということもあり、学園側も特例として認めたらしい。
クロエがリュカとして学園で過ごすのになれてきた頃。学園内の移動中に廊下の隅で光る何かを見つけた。
「指輪?」
上品なリングには小さいながらも輝く宝石が付いている。
「落とし物、かな?」
拾い上げると、 指輪の宝石が輝き出した。
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。七色に輝く。
「なになになに?!」
驚きと眩しさでクロエが目を瞑る。
光が落ち着いて目を開けると、指輪はクロエの左手薬指にはまっていた。
「ええー?」
ぴったりとはまった指輪は、引き抜こうとしても指から離れることがない。
力をいれても無駄だった。
「どうするのよ、これ」
拾っただけなのにいつの間にか指にはまったいた――それが事実だとしても、この指輪の持ち主は納得しないだろう。
頭を抱えるクロエの前に2人の男子生徒が通りかかった。
「おいお前、その指輪をどこで手に入れた?」
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