七色の指輪

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 そんな兄を見て、ラファエルはため息をつくと口を開いた。 「今夜のパーティーはリュカにも出て貰おう。で、彼も含めて指輪で婚約者の選定を行うってことで良いだろ」 「えっ、ちょっと」 「わかった。それでいい」  ラファエルの提案に口を挟もうとしたクロエだが、ガブリエルが了承したため押し黙るしかない。  ガブリエルが指輪に魔力を込めると、驚くほど簡単に外れた。 (無理矢理引き抜くことも出来なかったのに、こんなにあさっり……怖いよ、この指輪!)  平静を装い、心の中でクロエが叫ぶ。 「どうせなら、妹さんも呼んでね。指輪がクロエ嬢と間違えたのかもしれないし」  追い討ちをかけるようなラファエルの言葉に、クロエの笑顔が引きつった。 (リュカを連れてパーティーに出る? いや、リュカは病み上がりだし。でも一人二役なんて絶対無理! っていうか、ラファエル王子、私がリュカじゃなくてクロエだって気づいてるよね?)  クロエは再び心の中で叫ぶ。  にこにこと笑顔を作るラファエルに、ひたすら恐怖を感じている。 「じゃあ、今夜のパーティーで」 「よろしく頼む」  似てない兄弟の背中を見送りながら、クロエは葛藤を抱えていた。
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