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頭を抱えながら部屋に戻ったクロエ。
リュカの髪――鳶色に合わせたかつらを取ると、蜜色の髪がこぼれる。
男子の制服を脱いで部屋着に着替えると、リュカの部屋へと向かった。
「おかえり、クロエ。今日もごめんね」
ベッドの上、クロエとそっくりの顔立ちのリュカはすまなさそうに眉を寄せる。
体調の良い日はリュカ本人が授業を受けているのだが、それも月に何度か――片手で数えて足りるほどだ。
「どうしよう、リュカ。すっごく面倒なことになったんだけど……」
クロエはリュカに先程までのことを伝えた。
黙って聞いていたリュカだが、段々と難しそうな顔になってくる。
「どっちにしても、クロエが王族と結婚するって話だよね?」
「えっ、何でそうなるの?!」
驚くクロエにリュカはため息をついた。
「指輪に選ばれたら、ガブリエル王子の妃になるってことでしょ」
改めて言われて、クロエの表情が凍りつく。
先程、初めて顔を会わせた第1王子は選定の指輪で伴侶を選ぶといっていた。
本当にクロエが指輪に選ばれているのだとしたら、ガブリエルは婚姻を結ぶだろう。
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