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青ざめるクロエに、リュカは二度目のため息をつく。
リュカ自身はガブリエルに会ったことがない。しかし、ラファエルとは面識があった。
「で、でも、他の子が選ばれる可能性だってあるし」
「確かにその指輪は他の令嬢を選ぶことがあるのかもしれないけど、ラファエルは違うよ」
何でラファエル王子? という疑問がクロエの顔に浮かぶ。
「ラファエルとは、彼が次期宰相に選ばれる前に知り合っているんだけどね……」
言いながら考え込むリュカにクロエは不安になる。
リュカとラファエルの面識があるなら、やっぱりクロエだとバレていたんじゃないか――と。
「リュカ?」
途中で話が切れたの不審に思い、顔をあげたクロエの瞳に、ぼんやりと視線を彷徨わせているリュカが映る。
「ちょっと、リュカ!」
クロエが彼の頬に触れると、熱を持っていた。それも、かなり熱い。
そのままベッドに寝かせると、冷水で絞ったタオルを額にのせた。
「ごめん、クロエ。休むね」
話の途中だったが、リュカはそう言って目を閉じる。
「おやすみ、リュカ」
連日、夕方になると高熱が出ているリュカ。
昼間は落ち着いていたのだが、体力温存のため休んでいた。
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