七色の指輪

8/11
前へ
/11ページ
次へ
 青ざめるクロエに、リュカは二度目のため息をつく。  リュカ自身はガブリエルに会ったことがない。しかし、ラファエルとは面識があった。 「で、でも、他の子が選ばれる可能性だってあるし」 「確かにその指輪は他の令嬢を選ぶことがあるのかもしれないけど、は違うよ」  何でラファエル王子? という疑問がクロエの顔に浮かぶ。 「ラファエルとは、彼が次期宰相に選ばれる前に知り合っているんだけどね……」  言いながら考え込むリュカにクロエは不安になる。  リュカとラファエルの面識があるなら、やっぱりクロエだとバレていたんじゃないか――と。 「リュカ?」  途中で話が切れたの不審に思い、顔をあげたクロエの瞳に、ぼんやりと視線を彷徨わせているリュカが映る。 「ちょっと、リュカ!」  クロエが彼の頬に触れると、熱を持っていた。それも、かなり熱い。  そのままベッドに寝かせると、冷水で絞ったタオルを額にのせた。 「ごめん、クロエ。休むね」  話の途中だったが、リュカはそう言って目を閉じる。 「おやすみ、リュカ」  連日、夕方になると高熱が出ているリュカ。  昼間は落ち着いていたのだが、体力温存のため休んでいた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加