七色の指輪

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七色の指輪

 エール王国王立学園。  貴族の子息が集まる全寮制の学校に、辺境男爵令嬢であるクロエ・シャロンも在籍している。  だが、彼女は学園内で"クロエ"として過ごせずにいた。  胸をさらしで押し潰し、長い髪を短くして、男子生徒として在籍しているのだ。  その理由は、彼女の双子の兄・リュカにある。  シャロン男爵家の次期当主であるリュカだが、幼少時より病弱だった。  そんなリュカの代わりに、クロエが男装して授業を受けているのだ。 「男であるリュカより、女であるクロエが病弱であったら……」  そう考えた二人の父、シャロン男爵がクロエの男装を提案した。  辺境男爵の子息であるリュカを知る人間が学園にいない上に、細身のリュカとクロエの背丈はほとんど一緒で顔も兄妹だけあって似ている。  バレなければ問題ない。バレても家の問題だと判断されるだけだろう――クロエはそう考えて引き受けたのだ。  シャロン男爵は学園内の外れにある小さな小屋を借り、クロエとリュカの二人は寮ではなくその小屋で過ごしている。
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