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視線がぶつかり、僕はまたぎゅっと目を瞑った。 唇に当たる柔らかいものはこの人の唇。 何が起こってるのか分からない。 あまりのことに僕の頭は止まってしまった。 何が起きているのか理解出来ず、何をしていいかも分からず、僕は動けないでいた。 唇を合わせるなんて、したことない。 ましてやそこから・・・舌が入ってくるなんて・・・!? 驚きで開いていた唇の隙間から、熱いものが入ってきた。 「・・・んっんん・・・」 反射的にそこから逃れようと背けた顔を両手で押さえられ、さらに深く唇を合わせられた。 いつの間に外されたのか、かけていたはずのメガネはなく鼻どうしがぶつかる。 歯列を割って入ってきた舌は、縮こまった僕の舌を絡めとり、まるで生き物のように動き回る。 「・・・ん・・・っ・・・」 震える体は何も出来ず、僕はされるがままになっていた。 けれど、初めてのことで息の仕方が分からない。 ・・・どんどん苦しくなる。 息ができない・・・。 そこで初めて両手で相手の胸を押さえるが、力が入らない。苦しさに涙が零れる。とその時、不意に唇が離れた。 瞬間、喘ぐように息を吸った。 膝がガクガクと震え、崩れそうになった腰に片腕を回すと、その人は耳元に口を寄せた。 「鼻で、息をするんだよ」 吐息のように囁くと、再び唇を合わせた。 二度目のそれは大胆だった。 何度も角度を変えながら舌を絡め、上顎を嬲るように這っていく。 ぎこちないまでも何とか呼吸できてるのが分かったのか、今度は直ぐに離れてはくれない。 口の中に溢れる互いの唾液を反射的に飲み、それでも溢れたそれは口の端から流れ落ちていった。 だんだん頭の芯が痺れ、もう怖いという気持ちはなかった。 口の中を余すとこなく這っていく舌に、体がジンジンと熱を帯びてくる。 「・・・ん・・・ふ・・・っ・・・」 何も考えられない。 僕はただただ、その行為に身を任せていた。
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