エピソード ZERO

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エピソード ZERO

時は天暦944年。 天慶7年。 朱雀天皇の譲位により第60代醍醐天皇の第十四皇子である村上天皇(むらかみてんのう)が即位した。 平安時代中期は釈迦入滅の二千年後にあたる。 正法の千年・像法の千年の後、仏教が滅びる暗黒時代、すなわち末法の世が始まったと考えられた。 末法の世にはどんなに努力しても誰も悟りを得ることができない。 国が衰え人々の心も荒み、現世での幸福も期待できない。 このような人々の状況から、ひたすら来世の幸せを願う信仰が流行した。 貴族も神仏にすがり、極楽浄土に迎えられることを願って、その究極として宇治の地に平等院を建立した。 そして… この時代に最先端の学問(呪術・科学)であった「天文道」や占いなどを、体系としてまとめた思想としての陰陽道に関して、卓越した知識を持った陰陽師ともいわれ、当時の朝廷や貴族たちの信頼を受け、その事跡は神秘化されて数多くの伝説的逸話を生んでいった。 『安倍晴明』 その神秘的な伝説は数々。 だが… そんな伝説は、果たして本物なのか? ここに、もうひとつの伝説の物語が開かれた。
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