3章:ゲーム

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私が走り去っていたころ、純のもとに弟の真がやってきていた。 「何してんの、純。今日はオヤジと食事会でしょ。外に車待たせてある。行かなきゃ」 「うん」 真は先ほど、純から走り去っていった女性の後姿を見て、あることに気づく。 「え? あれ、津倉さん?」 「うん、同じマンションみたい」 「じゃあお嬢様ってこと? なのに、なんであんなブラジャーしてんのかな」 真はずっと気になっていた。絶対にサイズが合ってない。間違いなく3サイズは落としているだろう。それに服装だって髪型だって、あの眼鏡だって、本人が好き好んで選んでいるようには見えないのだ。そう思いながら、純を見ると、純は今までに真が見たことのないような表情をしていた。 「って、純、どうしたの! めっちゃ笑ってるけど」 「え? そう?」 言われて気付いたのか、純は口元を右手で覆う。でも、楽しそうな笑い声が抑えきれずに漏れてきていた。そんな純を見て、真は驚く。 「…そんな楽しそうな純、初めて見た」 「おもしろいオモチャ見つけたからかなぁ」 純はそう言って、菜々が去っていった方向を見つめていた。
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