万年筆

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万年筆

 数日後、望のもとに手紙と小包が届いた。  差出人は八百万 現人。  あの神の世界から来た隈の凄い男からだった。  手紙によるとあの後、望の願いは無事叶い、  神の世界はブラックから一変して超絶ホワイトな職場になったらしい。  休日もあり、給料も前より貰えてるようだ。  今は絶賛家族と温泉旅行中らしい。  小包の中には1本の黒い万年筆が入っていた。  何でも今回のお礼で、  『インクの切れない神様特製の万年筆』  だそうだ。  折角なので何か書いてみようと  おもむろにノートを取り出してみる望。    「そうだ、隈の人の話でも書いてみようかな」  15年後、誰もが知るベストセラー作家となった望は今でも、  このインクの切れない万年筆を握る度、酷い隈の男の顔と  あの不思議な温かさを思い出すという。    誰かのために幸せを願えるような優しさを、思い出せるという。
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