第7777777回信仰向上キャンペーン

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第7777777回信仰向上キャンペーン

 「お邪魔してますよ」  男はすでにリビングのソファに座っていて、  自分で入れたらしい緑茶をすすっていた。  お湯は沸いてないし、湯呑は見覚えがないものだったので  おそらく自前だろうと思われた。  自前してまで緑茶を湯呑で飲みたかったのかと  望は呆れを通り越して感心していた。  「まぁまぁ、お座りください。  今回の件を説明させて頂きますから」  「は、ハイ……」  この奇妙な男は今から何を喋るのか、  望には予想がつかなかった。  どんな話だろうという好奇心からくるドキドキと  ヤバい人だったらどう逃げようというドキドキで  胸がいっぱいだった。  「さて、自己紹介がまだでしたね!  申し遅れました。 私こういう者でございます」  そう言うと男は名刺を差し出してきた。  段々礼儀正しいのか図々しいのか望には分からなくなってきている。  「えと……神世界 信仰向上委員会会長……八百万 現人(はっぴゃくまん げんじん)さん?」    「イエ、八百万 現人(やおよろず あらひと)です」  キラキラネームというヤツだろうか……と望は驚愕した。  こんな変わった読み方の名前を見たことがなかったからだ。  ぜひこの人の親に会って名前付けの理由を聞き出したいレベルだった。    「か、変わったお名前ですね」  どうにか傷つけない言い方で会話を試みる望。  口に出さない方が安全なのは理解しているが、  どうしても本人の名前に対する反応が気になったのだ。  
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