彼女の機嫌が直るまで

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彼女の機嫌が直るまで

「自分で言ったらいいのになんで私にわざわざ言ってくるんだろうね」  家に帰れば珍しく彼女が荒れている。 「あーもう!本当に腹立つ!!!」  普段は穏やかで滅多に怒らない彼女。そんな彼女をここまで怒らせるなんてある意味凄い。日頃怒らない人が怒ると怖いと言うけれど全くその通りだと思う。  彼氏である俺でも手がつけられないほど怒っている彼女に今は何をしても無駄だと悟った俺。だから彼女の話が終わるまで大人しく聞き役に徹することにした。そして彼女だけは絶対怒らせないでおこうと心の中でこっそりと誓った。  話は暫く終わりそうにない。ここまでくると彼女をここまで怒らせる人物がどんな人なのか少し気になってくる。まぁ当の本人にとってはストレスなのだろうが、俺は俺でそんな楽しみ方をしている。たまに相槌を打ちながら一生懸命話す彼女を見る。  喋り疲れたのか俺が帰ってから弾丸のように始まった話はここで終わりを迎えた。 「あぁ、本当にごめんね」  話に夢中だったが俺に申し訳ないと気がついたのか徐ろに彼女が頭を下げる。 「いや別に俺は話聞いてるだけだから大丈夫だよ。話も面白いし」 「疲れて帰ってきてるのに余計疲れるでしょ」 「たまには愚痴だって言いたいことあるよ。仕事してきて大変なの分かってるから」  そう言って俺は彼女の頭をポンと撫でた。 「ごめんなさい。こんな彼女で」  彼女はそう言いながら項垂れている。 「何言ってんの。そんなところも含めて好きなんだから」  そう言うと目を見開いて俺を見る彼女。 「何? 好きじゃダメなの?」 「ダメ……じゃない」  照れているのか下を向く彼女をギュッと抱き締める。 「次は俺の愚痴もちゃんと聞いてよ?」  彼女の全てが愛おしいと感じる22時30分。
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