14匹目!!

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**** 「ねぇ、ひよちゃん。」 移動教室の時、七海が声をかけて来た。 あたしは黙って七海の方を見る。 七海は、苦しそうに笑っていた。 「わたし、あんまり頼りないかもだけど、悩みがあるなら、言ってね。 無理にとは、言わないから。」 教科書を握る七海の手に、ぎゅっと力が入る。 ……悩み。 「うん。」 返事だけ、した。 そして、また前を向く。 すると、前から飯塚さんがやってきた。 「ちょっと装飾品は禁止よ、梅田さん。」 なんか注意されたけど無視してすれ違ったら、飯塚さんはわざわざあたしの方に駆け寄って来て、あたしの目の前に回り込んだ。 ああ、一体何。 「どいて、飯塚さん。」 「どいてじゃないわよ、平然と無視してんじゃないわよ。」 飯塚さんはふしゅーっと鼻息荒くこちらを見返す。 面倒な、人。 「ごめん。じゃ。」 「じゃ、じゃないわっ、装飾品!!!!! 私、風紀委員!!!!今、梅田さんのこと注意してるのよっ!!」 注意… あたしは、そっと下を向く。 「うん。じゃ。」 「はあ!?会話!!!言葉のキャッチボール!! 注意されてるくせに何事もないようにしないでくれるかしら!? このブレスレット!!学校に余計な装飾品はつけちゃダメってあなた知らないの?? って、これ、」 キラン、と眼鏡が光った飯塚さん。 その手が、あたしの腕をがっちり掴んでて、露になる、ブレスレット。 ブワッと、全身の毛が逆立つような、そんな感覚が体を駆け巡った。 触るな、 サワルナ。
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