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学校にいく。
いつも通り、みんなが挨拶してくる。
いつも通り、いつも通り。
いつも通りなのに、兄貴があんなに騒ぐ意味が、分からない。
いや、
分かろうとか、そんな気さえ起こらない。
「おはよう、ひよちゃん…?」
机に鞄を置いていると、七海が声をかけて来た。
「おはよ。」
これだけ言って、すぐに視線を鞄に戻す。
会話、面倒くさい。
何も話すこともないのに、何も話しかけてこないのに、傍に七海がいる意味が分からない。
どうでもいい。
「あ、瀧本くぅん、おはよ~~~~っ!」
きゃぴきゃぴとした挨拶の声とともに、ドスドスッと、教室に足音が響き渡った。
その足音は一直線にあたしの方にやってきてピタリと止まる。
そして。
「梅田、おはよ!!」
語気の強い、挨拶。
仕方ないから顔を上げれば、瀧本がジッとあたしを見下ろしていた。
何、その顔。
「おはよ。」
挨拶だけして、あたしは視線をまた落とす。
余計な会話、する気にもなれない。
でも、瀧本は違ってて。
「梅田っ、」
グイッと、腕を引っ張られた。
ああ、何、面倒くさい。
「なに、」
「っ、何じゃねーよっ、ちょっと来て!」
「いや。話すことない。」
あたしは、ない。
瀧本が、目を見開いた。
「話すことないって、梅田…」
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