14匹目!!

20/21
前へ
/657ページ
次へ
「ほっといて、これに触らないで!!!」 バッ!!!と、飯塚さんの腕を振り払った。 飯塚さんは驚いて後退りをする。 「ちょっと梅田さん、それ、」 「ほっといてってば!!!取り上げないでよ!!!」 触れないで、触れないで、 触れないで 『肌身離さず持っとき。 それは、日和ちゃんだけの特別な御守りやさかい。』 これは、あたしの大切なもの。 あたしの、願い。 「ひよちゃん!!!」 七海を置いて、あたしは教室へ向かって走り出した。 もうやだ、 疲れた、責めないで、触れないで、 考えたくない、 助けて、助けて、助けて、 頭、からっぽだ。 **** 「あらら、今日も来てくれたん?」 気付けば、大津くんの神社に来ていた。 夕方で赤く色付いた空にカラスが哭いて、翼を羽ばたかせる音が静かな神社でやけに響く。 「考えたくない、の。」 ポツリと、あたしが言った。 鳥居にもたれた大津くんがクスッと笑う。 「ええよ、日和ちゃんの望むままに。」 あたしの、望むままに。 大津くんが、あたしの手を取った。
/657ページ

最初のコメントを投稿しよう!

382人が本棚に入れています
本棚に追加