382人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、あの、冗談抜きでですね。
廊下を歩いてるひよちゃんを見たとき、すぐにひよちゃんって気付かなかった。
なんか似てる三つ編みの子いるなーって思ってたら、あれひよちゃんじゃん!!みたいな。
廊下を歩いてるひよちゃんの顔は、『無』だった。
何考えてんのか全然分かんないし、表情とかないし、それより何より、禍々しくて、冷たいオーラがすごいっ!!
なにあれ、何したらああなるの!?
前は話しかけられたけど、今は話しかけることさえ躊躇うような、そんな状態。
ていうか、僕と廊下ですれ違ったのに、無反応だからね!!?
瀧本くんと喧嘩でもしたの、あれ!?
「梅田さん、どうしたんだろ、なんか暗くなかった??あの子、いつもすごい飄々としてるのに。」
僕の隣にいたクラスの友だちもビックリしてひよちゃんの背中を見つめてて、本当に、どうしちゃったの…?
いつもの偉そうで恐ろしいことを平気でぶちこむひよちゃんは何処にいっちゃったんだろう…
あれ、それはそれでひよちゃんだいぶヤバイ子?
****
その日の、昼休みだった。
「卯月いる?」
瀧本くんがうちのクラスにやって来たのは。
瀧本くんが現れた瞬間、うちのクラスの女子が一瞬で色めいたよ、うっっっっざ。
「やばっ、瀧本くんだ!瀧本くん来てるっ、」
「どこ、どこ見たいっ、」
「え、どうしてうちのクラスにっ!?ていうか目の保養~~っ、」
うん、糞うざ★
瀧本くんは自分に対して女の子達が密やかにキャーキャー言ってることなんて露も知らず、うちのクラスをキョロキョロ見渡す。
ああいう男いるよね、自分がどれだけ人気かぜんっぜん興味ない上に、自分の存在がどれだけ女の子に影響があるのか理解してない馬鹿。
ていうか、僕を呼んだ?
「瀧本くん、どうしたの??」
トテテッと駆け寄ると、瀧本くんは僕を見下ろして口を開いた。
「ちょっと話したいことあるから来て。」
話したいこと??
それなら僕も聞きたいことあるし、ちょうどいいか。
最初のコメントを投稿しよう!