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「うんっ、いいよ、お話しよっ!」
僕が可愛く頷くと、女の子達が向こうの方で「はうっ!!やば、鼻血噴きそう…」とか反応してて。
だいたいどんな会話してるか見当ついちゃうよ、計算ぶりっこにいちいち反応ありがとうございま~すっ。
「ほら、いこっ、瀧本くん!」
僕は瀧本くんの背中を押して、教室を出た。
****
「ねえ、僕からちょっと訊いてもいい?」
僕たちは、初めてお互いの正体を見た空き教室まで来た。
瀧本くんは腕を組んで眉間に皺を寄せる。
「何だよ、しょーもねーことはきくなよ。」
「うん、大丈夫、しょうもなくないよ、瀧本くんがネチネチ片想いしてるひよちゃんのことだからっ。」
「青姦野郎にネチネチとか言われたくないんですけど。」
瀧本くん、僕をじーーーっと睨みます。
犬になんか負けないもんっ。
とりあえず、喧嘩しにここに来たわけじゃないから、僕はコホンと小さく咳払いをして瀧本くんの方を見上げた。
(何がムカつくって瀧本くんの方が明らかに背が高いんだよね)
「あのさ、ひよちゃん。
あれ、どうしちゃったわけ??
瀧本くん、ひよちゃんに何か酷いことでも言ったの??喧嘩とかした?」
この問いに、瀧本くんの眉がピクリと反応。
そして「なんで俺が梅田と喧嘩なんかしないといけないんだよ、してねーよっ。」と言ったあとに、ちょっとうつむいた。
??
「瀧本くん?」
「っ………、
卯月は、発作がおさめられなかったことって、ある?」
パッと顔をあげた瀧本くんは、なんだか、切羽詰まってて。
発作…??
「無いよ??どうしたの?」
そういえば、たしか瀧本くんの発作のおさめ方ってひよちゃんの協力が必要だったっけ…
僕がキョトンとしながら答えると、瀧本くんはちょっと唇を噛んだ。
「…なんか、俺、梅田に今まで発作おさめてもらってたんだけど、いきなり出来なくなって、そっから、なんか梅田の様子がおかしくて、
相談っ、ていうか、」
瀧本くんは僕に相談するっていうのが気恥ずかしいのか、最後は視線がふよふよ。
つくづく思うけど、天の邪鬼な人って大変だなあ。
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