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「いいよ、ひよちゃんのことだもんねっ、僕の大事なご主人様のことだったら何でも話きくよっ??」
僕がきゃはっと笑って瀧本くんに上目遣いをすると、瀧本くん、ゴミを見るかのような表情で僕を見返してきました。
「誰が卯月のご主人様だよ、いい加減それやめろ。」
「やーだよーーーだっ!」
僕、手に入らないものほど燃える質だから!
僕があっかんべーーってしたら、瀧本くんも仕返しと言わんばかりの態度で思いっきりあっかんべーっ。
うんうん、男子高校生二人で何やってるんだろうね。
それから瀧本くんは順番にひよちゃんとの間にあったことをお話してきた。
で、話を聞いた僕の感想が。
「ねぇ、なんでいっつも逃げるひよちゃんをそのまま逃がしちゃうの??
捕まえて無理矢理にでも瀧本くんちにちゃんと連れていけば良かったのに。」
いや、ここでしょ、問題点ここでしょ、ひよちゃんにおめおめと逃げられ過ぎじゃない??
僕の指摘に瀧本くんは苦々しい顔をした。
「それは、………そうなんだけどっ、」
「だけど?」
何か理由があるわけ?
きょとんと首を傾げる僕に、瀧本くんは何か言いづらいことでもあるのか僕から視線を反らす。
「…あのさ、
犬は、『待て』って言われたら、待つじゃん。」
「そうだね、ちゃんと躾られてればね。」
「つまり、そういうこと。」
はい??
僕、ますますきょとーん。なにがそういうこと??
「ごめん、瀧本くん、日本語話してくれる?」
「~~~~っ、」
瀧本くんはちょっと躊躇ってたけど、ひとつ、溜め息をついてから、頭を掻いた。
「だから、ご主人様に待てって言われたら犬が待つのと同じように、俺も梅田が本気で嫌がることとか、『やるな』って言われたことはできねーんだよ、体がうまく動かなくなんの!!」
はい???
「え、まじで?」
僕が目をぱちくりさせると、瀧本くんはこくんっ。
「犬は人間と共存してる生き物だから、俺の家はご主人様って認めた相手から受ける影響がでかいんだよって、
笑うな!!!」
瀧本くん、僕を見て怒ってきたけど、だって、だって!
「瀧本くん、ぶふっ、まじでひよちゃんがご主人様なんだ!!?
くくっ、やば、冗談じゃなくてガチなやつなんだ!?」
瀧本くん、本気でひよちゃんのことご主人様だと思ってんだ!?
犬の家ってなんかちょっと情けない!
僕が何とか笑いをこらえようとして口を抑えていると、瀧本くんは真っ赤になって僕を睨んできた。
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