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瀧本くんも僕がなんですぐに離れたのか理由を理解したらしくて、思いっきり怪訝そうな顔をした。
「どゆこと?まさか、梅田から肉食動物の匂いでもしたわけ??」
「してないよっ!!ひよちゃんは普通の人間だもんっ!人間だけ、ど……」
なぜか、逃げなくっちゃって、体が反応した。
僕だって訳わかんない。
瀧本くんはここで大きなため息をつく。
「ていうか、それ、変だなって感じた時点で俺に言えよ…」
「そんなこと言ったって僕だって何が何だか分かんないし、変に騒いでもアレだし、とりあえず様子見よって思って…」
そしたら、ますますひよちゃんが変になってた訳ですが。
僕と瀧本くんの間に、しばらくの沈黙。
沈黙を破ったのは、瀧本くんだ。
「とにかく、梅田に何か起きてると思う、俺は。
…ていうか、梅田、今すっごく冷たいし、このままじゃ、……やだ。」
しゅん、とした瀧本くんは、とっても寂しそう。
何かひよちゃんに言われたのかな?
「ひよちゃんに何か言われでもしたの?それか突き放されたとか。」
僕が何の気なしに訊くと、瀧本くんは本当に苦しそうな顔で無理矢理笑って「両方だよバーカ。」と答えて。
……うわっ。
「あの、うん、お気を確かに……」
僕は何て声をかけていいか分からなくて、なんか変なこと言っちゃった。
瀧本くんは少し目を伏せたけど、すぐにキッと僕を見てきた。
「今日の放課後、梅田にもう一度声かけようと思うけど、卯月もくる?」
僕も……?
そうだね、ひよちゃんのこと心配だし…
「うん、行くよ。」
僕も、行く。
こうして、ここに犬と兎の同盟が誕生しましたっ。
誕生したのに、その日、ひよちゃんはなんといつの間にか早退して、放課後にはすでにいなくなっていました。
ひよちゃん……!?
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