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ぴたりと止まったシマオの横を、後ろから条介が通り過ぎて村人たちのそばに向かった。
「首って、何なん……」
「あそこに小さい首が落ちとるねん」
そばに来た条介に分かるように、村人はお社の方を指差した。
「……小さいな……あれが首?」
小屋のようなお社なのだが、その前の地べたに丸い肌色のものが無造作にあった。遠目にも目鼻が分かった条介は、近づくことはせず、その場で目を細めて見ながら問いかけた。
「ここにも "キヨメ" がいるやろ?」
「今日はおらん。この前の大雨で崩れた山道を直しに出ててな」
腕を組んで、当然のように村人は続けた。
「お前ら、ここで舞わせるんやろ? その前にここ清めるんも役目やろ」
「……なんで俺らが……っ」
シマオが思わず声を上げた。子どもたちは黙って見ていた。
「いや、俺がやるわ。シマオ、俺の神さん持っててくれ」
「条介! なんで?」
「ここの神さんも困ってはるやろし。ここの "キヨメ" が出てんのやったらしゃあないわ」
グッと黙ったシマオに肩から下ろした荷物一式を預け、条介は小さな首が転がっているお社の方に近づいた。
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