四 策

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「・・・皆、儂らの策を承知してくれるか?」  布都(ふつ)は、布都斯(ふつし)たちに決断させようとしている。 「収穫が昨年並み以上なら、余裕も生まれます。異存ないでしょう」  布都の思いを知って、下春(したはる)は承諾した。 「わかった。尾羽張(おばはり)。騎馬隊の指揮者がしばらく代わると皆に説明しておいてくれ」 「わかりました。義兄上」 「そうしてくれるなら、儂らも助かるでのう」  と佐久佐比古(さくさひこ)も同意している。 「では、この旨を夏の上集(かむつど)えで皆に知らせ、秋に備えてもらう」  布都斯が言うと、布都の顔がほころんだ。 「そうと決まったら、早いが夕餉にしようぞ。皆、泊まってゆけ」 「はい」 「わかりました」 「そのほうがゆっくり酒を飲める。春奈(はるな)。夕餉を頼む。すまぬが皆も手伝ってくれぬか」  布都が佐久佐比古や乾那有(かんだある)大足春(おたある)とともに下屋(しものや)へむかった。  布都斯はその場を立って、広間東の開いた板戸から外を見た。  爾多郷(ぬたのさと)も宍道湖も、静かに雨に煙っている。
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