34人が本棚に入れています
本棚に追加
秋晴れがつづき、刈り入れがはじまった。
布都斯と下春と蹈鞴衆が稲穂を刈り、子供たちと芙美、磐坂彦を背負った稲がその稲穂を屋敷の広場へ運び、地面に広げて干した。
いつも稲にまとわりついている布留と宇迦は、下春の末子・佐太彦とともに、稲穂に群がる雀や野鳥を棒で追った。その間も穀物倉の南から、八島野が手斧で木を割る音が広場に響いている。
日暮れになると、稲と芙美と子供たちは、干した稲穂が夜露で濡れぬよう、高床の穀物倉の床下へ入れた。雨が降りそうになると穀物倉に入れた。
雨の日は、稲や子供たちの作業は休みになったが、布都斯と下春たちは雨に濡れながら稲穂を刈った。穀物倉の床下の柱に細い丸太を横に数段くくりつけて稲穂をかけ、雨の日も稲穂を干せるようにした。
十日ほどすぎて稲穂が乾いた。布都斯と下春たちは稲穂を広場の中央に集め、六尺ほどの根曲がり棒で叩いて脱穀した。
布都斯や下春たちの近くで、子供たちは雀や野鳥を追いながら、脱穀した籾を選り分けて叺や麻袋に入れ、藁を束ねた。
最初のコメントを投稿しよう!