第三章 死の様な森も雪降れば白く

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「梅干し!!!!!!!!!!!」 「どうぞ」  このご飯には、梅干しが合うのだ。俺はジェーンの手を握ると、友情の握手をしておいた。 「友達!!!!」  同じ物を、同じように美味しいと思える事の、何と嬉しい事か。 「……恐ろしく可愛いですね」 「そう……困った事に、中身と激しく異なる容姿でね……恐ろしく可愛い」  ジェーンは、本村に同情の眼差しを向けていた。しかし、俺は、姿で本村を困らせた事などないだろう。 「美味しい!!!!!!!!梅干し!最高!!!!!、あ……日鋼丸にも同じ料理を出してね」 「承知しました」  日鋼丸と一緒に食事をしたかったが、常にマスクをしているので、顔を見せたくないだろう。俺は日鋼丸の素顔を知っているが、本村は知らない。 「事件は終わりにしたいけれど、実行犯?は……気になるな……」 「ラジャー!!!!!!!!!!!!」  チビ1が飛び出てくると、味噌汁に落ちていた。防水にしていたので拭いていると、チビ1はジェーンに叱られていた。 「食べ物の中に入らない。落ちない。基本ですよ」 「ラジャー…………」  チビ1が叱られている内に、チビ2がやってくると、俺に画像を見せようとした。 「食べながら、テレビを見ない!」 「……テレビじゃない……」 「ラジャー……」  チビ1と並んで、俺とチビ2にもジェーンに説教されてしまった。  ジェーンがデザートを取りに行くと、チビ1とチビ2が、俺に隠れて泣いていた。 「夏目ちゃん……叱られてしまいました……」 「夏目ちゃん……」  俺も怖かったので、一緒に泣きたい気分だ。 「……チビ1、チビ2……怖かったな……」  すると、チビ3が出て来て、俺のリュックからキットを取り出すと、動くパンダになり俺に抱き付いた。 「チビ1、チビ2、夏目ちゃんを護ろう」 「ラジャー」×2  自主的に動くようになったが、互いに励まし合うようになるとは思わなかった。
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