第三章 死の様な森も雪降れば白く

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「いや、その前に、チビ3、プロペラを付けて下に行ってみて」 「ラジャー!!!!」  チビ3が俺のリュックからキットを出すと、穴の中を照らしながら降下していった。 「上に滑車を付けた跡のようなものがある。もしかして、これは資材搬送用のエレベーターのようなものか?……」  木造から直接、食糧や飲料水を運び込めるようにしていたのかもしれない。だから、木造が燃えた時に、一酸化炭素が地下に充満してしまった。  チビ3の映像を確認してみると、穴は梯子で降りると、次にやや斜めの下りの通路に続いていた。そして、水が入り込まないようにしたのか井戸に続いていて、井戸には空気窓が付けられ、排水溝も用意されていた。  そして、井戸の位置から少し登ると、そこにドアが付けられていた。そして、そのドアの向こうは、貯蔵庫になっていた。 「鉄製の頑丈なドア……コンクリートの壁。防空壕……」  山の夜はとても冷えるので、洋館では暖炉を使用していた。しかし、木造には暖炉が無かったので、練炭のこたつを使用していた。 「それと、火鉢?」  木造の竈の横には、火鉢が幾つか残っていて、綺麗な柄の付いたものもあった。現代の密室に近い部屋では、火鉢を使用すると一酸化炭素中毒になり危険だが、隙間風の吹く木造ならば、使用しても平気だろう。 「それらは、地下に無かった……そうか……」  地下にあった白骨死体は、火災による一酸化炭素中毒ではなく、練炭による事故だったのだ。 「木造が燃えても、地下は大丈夫である筈だった。だが、洋館には主の姿が無かった……地下に行こうとすると、洋館側の通路は水が入り込んでいた」  水は火災の消火の為に掛けたものが、流れ込んでいたのかもしれない。コンクリートの壁はしっかりしているのに、足元が岩になっていたのは、水害の跡だろう。通路にも排水の仕組みがあり、地下に流すようになっていた。しかし、泥が入り込み塞がれていた。
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