第三章 死の様な森も雪降れば白く

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「地下に行く」 「はい」  ここに潜るのは面倒なので、洋館側から降りてみよう。  俺が洋館に走り込むと、チビ2は別のものを探し出し、俺に映像を流してきた。 「え?ええ???」  チビ2が探し出してきた映像には、森の中で首を吊ろうとしている男の姿が写っていた。そして、位置情報を確認してみると、この洋館から離れ、山に向かった先の森の中になっていた。 「ここには、脱出通路があるのか……」  地下室と喋っていると思っていたが、繁典がいたのは、脱出通路であったのだろう。 「チビ1、空から確認。それと、首吊りの邪魔をしろ。方法は問わない」 「ラジャー!!!!!!!!!!!」  チビ達はすっかり自我に目覚めていて、こういう自主性を感じさせる命令に高揚する。しかし、見張っていないと、何を仕出かすのか分からない怖さが残る。 「日鋼丸、森に向かう」 「はい」  地下室のドアを開くと、チビ3が飛んで戻ってきていた。そうすると、繁典がいる場所は、そう遠くない。 「地下から行くか」 「夏目ちゃん、中は迷路のようになっていました。天然の洞窟に抜けているようです」  すると、地上から行った方が速いという事になる。 「夏目ちゃん、セブンのハクがリュックで眠っていました」  リュックの道具に紛れて、ハクが鼾をかいて眠っていた。しかしハクは目覚めると、チビ3から状況を受け取ったらしく、俺の背に貼り付き、白い大きな翼に変形した。 「夏目ちゃん!!!!!大好き!!!!!一緒に飛びましょう!」 「……分かった」  俺が外に出ると、ハクは翼を羽ばたかせ空へと舞い上がった。日鋼丸は既に移動を始めていて、木にワイヤーを掛けながら、自在に森を移動していた。 「……日鋼丸のほうが速いな……」 「でも、空から俯瞰するというのは、夏目ちゃんの得意技ですよ」  確かに、衛星の映像を捕捉している。しかし、自分の体で飛んでみると、別の視点でも分かってくる。
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