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「元気だよ」
「ぎゃあああ!!鯉が喋った」
俺が池に落ちそうになると、ハクが翼を出して羽ばたいていた。すると、チビ2も出てきて、目を光らせて周囲を照らしていた。
「夏目ちゃん、確認しました。ジェーンはいません」
チビ2は鯉を確認すると、俺の首に巻き付いた。
「この子は、最終兵器か何かか?飛んでいるし、翼はあるし、蛇まで飼っている!!」
「それに近いものです」
返事をしていたのは料理人で、外国人であった。名札を見ると、やたら長い名前で、略してジェーンだったようだ。名札の下に、マジックペンで、略してジェーンと付け足されていた。
「しかし、可愛いな……天使みたいだ。でも、イタズラしそうな目をしているな……」
「イタズラレベルではないのですよ……」
本村は冷静に俺に近付くと、頭を殴ってから片手に抱き込んだ。
「痛い……」
「イタズラするな」
俺は鯉を見ていただけで、イタズラなどしていない。俺が頭をさすっていると、ジェーンが手を伸ばしてきた。
「夕食が出来ましたので、ご案内します」
「和食?どこの国の料理?乳は入っていない?」
ジェーンは、俺の翼を撫ぜると、チビ2にキスしていた。
「本物の翼みたいだ。本物の天使なのかな……こんなに綺麗な子供は初めてみた。今は夜で日射しが無いのに、日射しに透けてしまいそうだ」
「透けていない……ちゃんと迷彩服を着ている」
迷彩なので、森に溶けてしまいそうと言われた方が納得する。
「天使など信じた事が無いのに、見ていると祈りたくなる。この子の未来が、優しい光で溢れているように願ってしまう」
優しい光というのは、具体的に思い浮かばない。太陽光は、俺にとっては怖い存在で、日焼け止めは必需品になっている。だから、太陽光は優しいとは言えず、サンマを焼いていると、サンマに同情したくなるくらいだ。じりじりと焼かれる事の、何と辛い事か。
「光は嫌だ。暗黒がいい」
「ホイルの包み焼きか?」
ジェーンもおかしな発想の持ち主らしい。
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