神様にお願い

12/17
前へ
/17ページ
次へ
 興味なさそうなんじゃなくて、そういうフリをしてただけだ。本心が丸見えにならないように、一生懸命平然を装ってただけだ。 「周は俺なんかいなくても大丈夫なんだって、そう思って……。だからうんと遠くに行って、寂しがればいいって思ってた」 「……なんだよそれ。俺を寂しがらせる為に旅してたって言うのか?」 「それだけじゃないけど……」  そう言って目を伏せる。肩から手を離すと、頭をかきながらため息をついた。 「なんていうかさ、その、修行だよ」 「またそれかよ。だから意味わかんないんだって、修行ってなんの?」  ちらりとこっちを見てから、また目をそらす。だんだんイライラしてくる。なんだってこいつは図体はでかいくせにはっきりしないんだ。 「はっきり言えよ!」  思わず叫ぶ。ちらっと家族の顔が浮かんだが、みんなとっくに寝ているだろう。 「……お前を忘れるための」  そう言って、大和はバツの悪そうな顔をした。 「俺……?なんで?」  余計に意味がわからなくなった。忘れたい?俺を? 「どういうこと?」 「だって、だから、……俺はお前が好きなの!でも男同士だし……、諦めるしかないって思ってて……。あーもー、言うつもりなかったのに!」  赤い顔を更に赤くさせて、大和は言った。目元を両手で押さえて唸っている。 「は……何言って……、俺が?好き?」 「そうだよ、好きなんだよ!何度も言わせんなよ、ばかやろー」  収まってた胸の鼓動が、また早まる。好きって。大和の言う好きってどういう好き?
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加