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興味なさそうなんじゃなくて、そういうフリをしてただけだ。本心が丸見えにならないように、一生懸命平然を装ってただけだ。
「周は俺なんかいなくても大丈夫なんだって、そう思って……。だからうんと遠くに行って、寂しがればいいって思ってた」
「……なんだよそれ。俺を寂しがらせる為に旅してたって言うのか?」
「それだけじゃないけど……」
そう言って目を伏せる。肩から手を離すと、頭をかきながらため息をついた。
「なんていうかさ、その、修行だよ」
「またそれかよ。だから意味わかんないんだって、修行ってなんの?」
ちらりとこっちを見てから、また目をそらす。だんだんイライラしてくる。なんだってこいつは図体はでかいくせにはっきりしないんだ。
「はっきり言えよ!」
思わず叫ぶ。ちらっと家族の顔が浮かんだが、みんなとっくに寝ているだろう。
「……お前を忘れるための」
そう言って、大和はバツの悪そうな顔をした。
「俺……?なんで?」
余計に意味がわからなくなった。忘れたい?俺を?
「どういうこと?」
「だって、だから、……俺はお前が好きなの!でも男同士だし……、諦めるしかないって思ってて……。あーもー、言うつもりなかったのに!」
赤い顔を更に赤くさせて、大和は言った。目元を両手で押さえて唸っている。
「は……何言って……、俺が?好き?」
「そうだよ、好きなんだよ!何度も言わせんなよ、ばかやろー」
収まってた胸の鼓動が、また早まる。好きって。大和の言う好きってどういう好き?
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