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俺は大和の胸倉を掴んだ。そのままぶつけるみたいにして口と口を合わせる。
「こういう好きってこと?」
口に手を当てて大和が俺を見ている。なんでこんなことしたのかわからないけど、自分でやっててドキドキしている。本当に俺は、ばかやろーかも知れない。
「周も……俺の事好きなの?」
大和が俺に一歩近づいて聞く。
「まぁ、うん。……結婚したいって言われたら喜ぶくらいには」
「なんだよそれ」
「やっぱ覚えてないんだ。前に姉ちゃんと飲んだとき、酔っ払って潰れたろ?その時お前、寝ぼけて俺を姉ちゃんと間違えて言ったんだよ。周と結婚したいけど、男同士だから無理だって」
大和が両手で顔を抑える。恥ずかし……と言う声が指の隙間から漏れ出た。
「俺さ、ずっと半信半疑だったんだ。自分の気持ち。けど、今やっとわかった。俺も大和が好きだよ」
そう言うと、大和はゆっくりと顔を上げて俺を見る。
「好きだよ、大和」
今度は俺が大和の大きな体を抱きしめる。酒の匂いと大和の匂いが混じった匂いが鼻腔をくすぐる。酒の匂いなんて好きじゃないけど、大和のその匂いはなぜだかすごく心地よかった。
「オレ、神様にいっぱいお願いしたんだ。もしかしたら世界のどこかの神様が気まぐれで叶えてくれるかもしれないだろ?」
なるほど。それであのキーホルダーか。理由を聞けばあのキーホルダーも愛しく思えてくるから不思議だ。
「叶えてくれたのかな?」
大和が聞く。
「どうだろう?」
さらに聞き返す。視線と視線がぶつかって、どちらからともなくキスをした。
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