神様にお願い

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「よお」  大学から帰って来て自室に入ると、幼馴染の大和が寝転がって漫画を読んでいた。 「大和!?いつの間に帰って来たんだよ!?」 「今?」  こちらには目もくれず漫画に視線を落としたまま答える。一瞬、本当に自分の家だっけ?と不安を覚える程のくつろぎ様だった。  大和が帰ってきたのは、実に一ヶ月ぶりで、その前は二ヶ月帰ってこなかった。毎度おばさんが心配しているので連絡くらいいれろ、と注意しているにも関わらず、いつだって電波の届かないところにいるか、電源を入れていないか、もしくは携帯自体を持っていかないかのどれかだった。  日雇いや短期のアルバイトで金を稼いでは、そのほぼ全てを旅に使ってしまう。行き先は様々で、日本から始まり、中国、インド、シンガポール、ベトナムやエジプト……とアジアを中心に回っているみたいだった。  ヨーロッパやアメリカなんかの、きらびやかな所に興味がなさそうなところが大和らしいと俺は思っている。 「先に実家に帰れよ。おばさん心配してたぞ」 「だって鍵空いてなかったんだもーん」  見た目に合わない言葉尻に深いため息が漏れる。  百八十センチを余裕で超えるこの巨体にだもーんは似合わない。かといってチビの俺に似合うという訳でもないけれど。
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