Two.疑心暗鬼の胸の奥

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「怖がらせてすみません。僕もオメガなので襲ったりしません。大丈夫です」 「本当……?」 女の子が、少しだけ安心したような表情を見せてくれて、僕もホッとする。 「抑止剤持ってる?」 少しでも気を楽にしてもらおうと、あえて堅苦しい喋り方をやめてみる。効果があるかは分からないが。 彼女は僕の質問に対し、再び悲しそうな顔で首を横に振る。 「薬は鞄に入れていたんですけど、ここで倒れていたら、誰かに鞄ごと盗まれちゃって……」 「えっ⁉︎」 この子が発情中で身動きが取れないのをいい事に鞄を盗むなんて……許せない。
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