One.嘘吐きには制裁を

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そんな父が主催する、グループの創立百三十周年記念パーティーに、息子である僕もスーツを着てこうして出席している。 「花梨(かりん)君。久し振り」 歓談中、顔馴染みでもある主要社の代表者の男性が、グラスを片手に声を掛けにきてくれる。 「ご無沙汰しております。本日はありがとうございます」 「こちらこそ。少し見ない内にまたかっこ良くなっちゃって。花梨君は今、大学三年生だっけ?」 「はい。再来月に四年生になります」 そう。今の自分はまだ学業に専念する身である為、このパーティーに出席しているのも、父のおまけのような存在だからに過ぎない。 とは言え、現トップの息子である僕の顔や存在は、内部ではーー特に主要社の関係者にはとっくに知られており、挨拶しに来てくれる人も多い。
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