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事実、こうしている間にも複数人の仕事関係者が僕の元へやって来た。久し振りの方も、初めましての方も居る。
いくらおまけと言えど、父の顔に泥を塗ることのないよう、丁寧な対応を心掛けながら笑顔で対応するが、自分にとってもそれが苦痛な訳ではない。
そんなことが父の為になるのならばいくらでも笑うし、人と話すことや社交の場が苦手ということでもないからだ。
「花梨君は、T大の経済学部に在籍中なんだって?」
「凄い。こんな立派な後継ぎが居れば、相沢グループは今後も安泰ですね」
「確かに、それは間違いない!」
そう言って、彼等は明るく笑い合ってくれるが……。
ーー後継ぎ、か……。
どうやらこの方達は皆、僕が相沢家でどういう存在なのか詳しく知らないらしい。
こちらとしてはその方が都合が良い為、僕は、彼等の言葉に対し無言で微笑み返した。
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