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近くのトイレに入って洗面台の鏡で自分の顔を確認すると、先ほど指摘された通り、確かに少し赤くなっている。
念の為ーー飽くまでも念の為に〝薬〟を飲んでおくか。
スーツの胸ポケットから、普段から持ち歩いている薬用のケースを取り出す。
ちょうどトイレに誰もいなくて良かった。こんな薬を飲んでいるところを誰かに見られる訳にはいかない。
一錠を口に含み、ケースは再び胸ポケットへしまう。
洗面台に置いてあった使い捨てのコップに水を入れ、薬を喉の奥まで流し込んだ。
……万が一のことが起きても、これでひとまずは大丈夫のはず……。
しかし、そう思った矢先、突然胸の奥が熱くなり、眩暈がした。
「……ぅ、あ……っ」
立っていられなくなり、その場に膝をつきながら崩れ落ちた。
この感覚……やっぱり〝あれ〟だ。でも、何故?次の時期まで、あと一ヶ月半はある筈なのに……。
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